かわら版


<見知らぬ女性があらわれて出生の秘密を知らされる>

小学校に入っても、私の家は相変わらず貧しく、
白いごはんは食べられませんでした。

いつも、芋とかとうきびばかり食べていました。

お腹がすくと、よく飯場に残り物をもらいに行きました。
食べ物を恵んでもらうのは、当時、当たり前の事だと思っていました。
飯場のおばさんは、いつも何も聞かずに食べ物を与えてくれました。

私の家庭は沿岸漁業で、たこ、かに、かれい等を漁るのですが、
ぜんぜん漁れませんでした。ちなみに、さんまは遠洋漁業ですし、
ホッケは深海の魚なのでうちの船では漁ることができませんでした。

私はどんなに思い出しても、父がまともに船に乗っているのを見た記憶が
ありません。父は、毎日朝から晩までお酒を飲んでいました。

そして、お酒がなくなると機嫌が悪くなって
私に命令して酒を買いにいかせるのです。

お酒を買うお金がないので、母が、その都度、
泣く泣く自分の物を売って工面していました。

それでも、4号瓶(720ml)に満タン買えたことはなかったと思います。

たんすはいつも空っぽで、
父がチャブ台をひっくり返すことも家ではあたり前の出来事でした。

酒を飲んで母を殴ったりするのが嫌で「酒を辞めてくれ」と何度も父に
頼んだことを覚えています。

目の前で母が殴られるのは本当に悲しかったです。
「何で父は分かってくれないんだろう」と思っていました。

ある時、喧嘩がいやで、
焼酎を捨てて水を入れて帰ったことがあります。

すぐにバレて、その瓶で思いっきり殴られました。
そして、麻袋に入れられて玄関先に一晩中吊るされました。

泣いても、泣いても家に入れてもらえなくて、
石崎の家にはいたくないと思いました。

ただ、ただ、この家にはいたくないと思ったのです。

中学に入っても家は貧しく、友達も出来ず、
親父は酒ばかり飲んでいました。

ある時、音楽室で同級生とふざけてチョークを投げていたら
学校の太鼓が破れてしまいました。

学校から修理代を請求されたのですが、
父は「学校で起こったことは学校の責任だ」と
激怒して授業中に怒鳴り込んできたのです。

あの時は一番怖かったです。
魚を漁る網を担いで、訳の分からないことを喚きながらやってくるのが
遠くからでも分りました。

学校に入ってくると
同級生にも構わず喚いたりしました。

他にも、グローブを持って野球をしているという理由で
怒鳴り込んで来たこともありました。

授業中にクラスの同級生が「誰か来た」といって、
ザワつく度に「また親父かな」と思いました。

友達にも申し訳なかったですし、
恥ずかしかったし、悲しかったです。

もう、父とは一緒にいられないと思いました。


母も可愛そうでしたが、
中学生の自分には何も出来ないと思っていました。
よく、父と一緒にいられるなと思いました。

今から考えると、母も私も、
よくあの状況を乗り越えられたと思います。

そんな父でしたが、中学入学と同時にそろばん教室だけは通うのを
許してくれました。父が何かを許してくれたのは、それが最初で最後で、
とにかく嬉しかったです。

そんなある朝のこと「父が倒れた」といって、
私は朝の5時半に母に起こされました。

布団に横になっている父に向かって、
夢中で「親父、親父!」と呼んでみたものの返事がありません。

その日は11月13日で、死因は脳梗塞でした。

通夜、葬儀と担任の先生や同級生は誰も顔を見せませんでした。
あらためて、石崎の家が嫌われ者なんだということを思い知りました。

私の家は村八分の状態だったのです。

父が死んだことで
「この後どうなるんだろう、
何がどう変化するのだろう?」
と、思いました。

「学校に行けなくなるかもしれない、
自分が跡を継がなければいけないのだろうか?」
という予感が私の気持ちを重くしました。

葬儀の時には、
見たことのない女性が一人座っていました。

なぜか気になって「あれは誰?」と、
親戚に聞いて回ったのですが誰も教えてくれません。

それでも、諦めずに食い下がっていると
「あれは、お前の生みの親だ。お前は捨て子なんだ。
お前の本当の母親は育てるのを放棄したんだよ」
と教えてくれました。

死んだ父だと思っていた人は、
実は、私の祖父だったのです。

それを聞いて「なぜ、母は私を育てられなかったんだ?」と思いました。

そして、その瞬間、なぜ両親の年があんなに離れていたのか、
学校の参観日に来てもらえなかったのか、
地元の人達との折り合いが悪く嫌われ者なのかが、
一本の線でつながったのです。

私はいてもたってもいられず
「どうして、私を捨てたのか?」を、
本人の口から聞こうと思いましたが、
気づいた時にはその女性の姿は無くなっていました。

まさか、すぐにその女性がいなくなるとは
思いもよりませんでした。

<次回は~自殺を試みるも赤と緑のUFOに救われる>

「次回、自殺を試みるも赤と緑のUFOに救われる」

-大将のコメント-

チン毛の生え出す中学1年生とはいえ、
まだまだガキです。

突然の「お前は捨て子なんだ」という言葉と、
船に乗るために中学に行けなくなるというのでお先真っ暗でした。

我ながら、笑顔でよくこんな話ができるなと思います。

でも、今、自分の心に偽りのない希望があれば、
どんなに辛かった経験も、自分の自信になりますし、
人を励ます肥やしにもなるんだと思います。

せっかくの人生ですから、
夢を大切にしたいものですね。

 

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メルマガ読者さまからのコメント1

みのりの大将様

メルマガいつもありがとうございます!!
大変興味深く読ませていただいています。

大将って凄い人生を歩んできているんですね!
毎回カンドー(T.T)しながら読ませていただいております
早くも次を期待してしまっております・・・(>。<)

***
ありがとうございます。
頑張ります!
大将

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メルマガ読者さまからのコメント2
石崎さま

メルマガありがとうございます。
一度すれ違うように○○先生の講演会で名刺交換しただけでしたのに
この用にまたメールで繋がることができてとてもうれしいです。

メルマガを拝見しながらさまざまなことを考えました。
うちの家族もいつも暴力ばかりでした。
そのせいにしても何も始まらないとわかっていつつも、
人の中に上手に溶け込めない自分に日々苛立ちを覚えておりました。

今現在精神科の看護師としてアルコール依存症の看護に携わっております。
石崎さまのメルマガを拝見しながら日々の業務と自分自身について改めて考えました。
親の飲酒問題と暴力の境遇で育った方たちが
世代連鎖してアルコール依存症になっていく姿を目の当たりにします。
時にスタッフへの暴力・暴言もありますが、それらは本人ですらどうすることもできな
い病気の症状であると最近ようやく理解することができるようになりました。

それでもやはり自分の子供時代と重ね、その患者さまの家族、子供をみていると苦しく
なります。

患者さまの看護に携わりながら、日々自分も己の行き方と向き合うことになります。
正直、時々しんどいです。

ですが石崎さまのメルマガを拝見しながら、
人はそれでも生きていけるのだという勇気をいただきました。
本当にありがとうございます。

もう少し、ここでがんばってみようかなと思えました。

そしてちょっぴり「アホ」になろうと思いました。

あたたかなユーモアをありがとうございます。

これからもますますお元気で、ますます多くの方においしいラーメンと
笑いを分けてくださいね。

いつかお店のほうに伺いたいと思います。
お会いできる日を楽しみにしております。

ありがとうございました。
***
メッセージありがとうございます。
ぜひ、ゆっくりお話したいですね。
お待ちしております。

大将

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メルマガ読者さまからのコメント3

こんばんは。

せつなくも深いお話 ありがとうございます。

人生、ドラマティックですね。波乱万丈ですが、
すべては 今につながっているのかも。

続き また よろしくお願いいたします!!

***
ありがとうございます。
今、希望が持てるのなら、
これまでの事は全部勉強です。
笑って語って一歩前進でしょうか。
大将

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メルマガ読者さまからのコメント4

メルマガの方大変楽しく拝見させて頂きました。
少年の育つ環境があまりに劣悪で、
展開が昼ドラなところが癖になってきました。

お忙しいとは存じますが、
小さなエンターテイメントありがとうございます。

***
ありがとうございます。
まだまだ、行きますよ。
大将

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メルマガ読者さまからのコメント5

大将(石崎さま)へ

ご無沙汰致して居ります。
今回もどんな展開のお話になって行くのか期待でいっぱいでした。
本当におしんにひけ劣らず、私の子供時代にも決してひけ
劣らずで感銘して居ります。

同じ時代を生きてきた同志として、
これからも心の中でエールを送り続けたいと思います。
近々お店に行きます、あのスープの味が舌にこび
りつき禁断症状が現れ始めました。
宜しくお願い致します。


***
将来は、ぜひ、ドラマ化したいと思っています。
ラーメンもっともっと美味しくなるように頑張ります。
大将

<次回は~自殺を試みるも赤と緑のUFOに救われる>


アホのチャンピオンベルト